2025年台湾トークイベントレポート -穏やかな台湾の雰囲気に包まれる

台湾にて、ZOLBONNEのスイッチを取り扱うインテリアショップ『SASUGAS』さんから「一緒に新作を紹介するクロストークのようなイベントをやりませんか?」との嬉しいご提案をいただき、2025年の春、ZOLBONNEチームで台北を訪れた。

穏やかな台湾の気候に誘われて

久しぶりの台湾は気候もよく、穏やかな時間が流れていました。
新しいビルが増え、街もきれいに整い、走る車も高級車が増えている印象。

滞在中、ホテルの裏路地や静かな住宅街、公園、市場をカメラを持って散策。
路地に佇む古いアパートや民家などが並ぶ住宅地では、モダンなタイル貼りやモルタルの外壁などが多くみられる。地上に張り巡らされた剥き出しの配線や電線、日本製の古いスイッチなども目にすることが多く、どこかタイムスリップしたかのような郷愁感に駆られてカメラのシャッターを切る。

「あの壁にはうちのスイッチが似合いそうだね」
「あのドアノブは真鍮製かな?使い込まれていい味が出てるね」
そんな会話が自然とチーム内で弾みました。

屋台で食べた魯肉飯や牛肉麺は優しい味付け。
強い調味料の刺激は感じず、ほんのりと醤油味の中に肉の油、野菜の甘味が滲み出ているような家庭的な味。
気難しそうな表情で鍋を振る店員さんも、ぎこちない英語で質問をするとにっこり顔がほぐれて片言の日本語で答えてくれる。

本当にどれも美味しかったです「谢谢」
私たちの目に映る台湾の暮らしは、人の活気と穏やかさが調和したような親しみやすさを感じました。

ZOLBONNE初の海外イベント出展

きっかけは、SASUGASさんが来日されて仕入れの商談をしていた時でした。店舗でのスイッチの見せ方について相談された際に、「せっかくなので台湾でZOLBONNEのものづくりをPRするイベントをしませんか?」ということになり、今回の企画が始まりました。

SASUGASさんが提案してくれた企画は、台湾で活躍するクリエイターによるZOLBONNEをテーマとしたインスタレーション。来場者が五感で楽しめるような演出が盛り込まれており、自分たちの想像を越えたスケールに驚きつつも、幾度もの打ち合わせを経て実現しました。

来場される業種の方は、工務店·設計士·建築系インフルエンサーまで様々。
興味深くスイッチを手に取り、プレートの質感やスイッチ音などを感じてくれていました。スイッチを手にしてくれた人の反応を見る機会が、ものづくりのモチベーションや気づきには不可欠だと改めて肌で感じます。

会場の演出により場も程よく和んだところで、今回のメインコンテンツであるクロストークが始まりました。
ZOLBONNEデザイナーの城田とSASUGAS社長の李さんとの対談形式。プロジェクターに映し出した資料を観てもらいながらZOLBONNEの成り立ちを紹介。

・2011年の大震災をきっかけとして、自分たちが生き抜くための新しいエンジンになるべく選んだのがこのスイッチ事業であること。
・ZOLBONNEの商品が一工業製品、電材としてだけ売っているのではなく、工芸品やアートのように空間と暮らしを彩る製品としていること。
・消費されるものではなくずっと使われるもの。
・使ううちに生活に馴染むもの。
・ただの操作ではなく、喜びが生まれるもの。
・存在しないものを一緒に試行錯誤し生み出してくれる仲間へのリスペクト。

“当たり前の美しい存在”として暮らしにあり続けたいという願い。

話すことに集中するあまり、フロアが埋まるほどの大勢の参加者に対談後の拍手で気づき驚きました。
参加者からの具体的な質問にも答えながら、ZOLBONNEスイッチへの興味と、我々のものづくりへの熱意が伝わったのだと確かな手ごたえがありました。

海を超えた言語も異なる国で、こんなに共感してくれる人がいる事に、これまで信じてやってきたことが間違っていなかったんだと気付かされました。

イベントを支えた仲間たち

SASUGASUさんの声の元、このイベントに集まった台湾在住のアーティストのみなさんの演出がイベントを支えてくれました。

ZOLBONNEのスイッチプレートをイメージしたそれぞれの表現は、自然な素材や質感を用いて調和が取れており、台湾のクリエイションの奥深さ、面白さを感じました。

  • 自然派ワインのキュレーションを行う『Landed』
  • 食材から物語を引き出すフードデザイナー『Be.llong』
  • 石灰·鉄錆·セメントなど天然鉱物塗料で空間を演出する『FANDIAN』

素敵な空間を演出いただきありがとうございました。

台湾でのイベントを終え

SASUGASさんと共に作り上げた今回のイベント。ものづくりへの強い興味と共に、人を楽しませたい、もてなしたい、という熱い思いを強く感じました。

自分たちのものづくりもそうでありたい。

ZOLBONNEというブランドストーリーや制作への思いを言葉にし、人に話すということは初めての経験でしたが、ここまで自分たちのものづくりに対して整理し、熟考できたのはとても大きな財産になりました。
その機会を共に実現してくれたSASUGASさん、ありがとうございました。谢谢你。
また台湾を訪れる日を楽しみにしています。